HD 50FL 愛知 #3

 

前回に続きクランクシャフト。
元々のコンロッドは状態が酷く修理する手間と費用を考えコンロッドはアッセンブリーで交換。
ベアリングもセットとなっているがそこは要確認。組まれていたビッグエンドレース内径に対しクランクピンとベアリングのクリアランスは0.04mm。初期磨耗を考慮すると少々緩めなのでオーバーサイズベアリングでクリアランス0.03mmに変更。

 

 

 

 

コンロッドを交換したので1度クランクシャフトを仮組みしサイドスラスト量を計測。
新品コンロッドを使用するとサイドスラスト量はほぼ0に。そこで、使用するフライホイールワッシャーの厚み1.6mm。サイドスラスト量を0.3mmとし、片側0.25mmフライホイールワッシャーの溝を追加工。

 

 

 

 

 

そして本組みへ。
パンヘッドの前期モデルは今まで苦労させられていて、当然今回もすんなりと芯がでるわけもなく悪戦苦闘となりました。そこに問題発生。0.3mm隙間ができる筈だったコンロッドサイドはナゼか0.05mmに。

 

 

 

 

クランクピン穴が脆いのか?組み立て→分解を繰り返すと徐々にフライホイール間が詰まってくるようで、結局コンロッドサイドを片側0.1mmずつ研磨してクリアランスを0.25mmに。テーパー勘合のクランクピンをナットで締めあげるという構造なのでピン穴が変形していたりすると厄介です。
以前にも同じ症状のクランクがありましたが、その時はフライホイールを交換し難を逃れましたからコレでダメならフライホイールも交換かなとダメ元で再度組み立てへ。

 

 

 

 

もがきにもがいて3日。ここが限界でした。
0がいいんですよ。ほんとは。だから狙いにいくんですが、修理だと部品の状態で左右されるとこなのでこればかりはね。
コンロッドサイドは0.15mm。

ただ、この後ですよ。コンロッドサイドが詰まった約0.6mmがまた自分の頭を混乱させるのですが続きは次回に。

 

 

HD 54FL #6

 

54FLラスト。

 

使用するガスケットのダミーで各ギアのスラスト調整までしてウチでの作業はここまで。
レフトケースは54年以降のテーパーベアリングタイプ。一方ライトケースは54以前のケースで、マッチング以前に左右年式違いの組み合わせと少し手こずりましたが何とか年内に納まりました。

 

 

この手のエンジンの大半はクランクを回す為に何処か逃す所を作って組まれている事が多いですが、ウチはケース加工でクランク軸のラインを修正する為マニュアル規定値での組み付けが可能です。前回のblogで各部クリアランス調整した場合、マッチングしていないクランクケースではクランクは全く回りません。

 

HD 54FL #5

 

バタバタしてたら業務連絡忘れてましたね。(汗) 今年の加工作業は本日をもって終了となります。
明日27日は大掃除、工場雑務となりますが、来年度からの作業依頼は受付していますのでご連絡お待ちしています。

作業も大詰めな54FL。
サーキットブレーカーギア アイドラギアのブッシュ入れ替え。

 

 

アジャスタタイプのリーマーでブッシュ内径を仕上げ。
ギアぱに垂直。シャフトとのクリアランスを0.03mm。

 

 

加工作業の目処が付いたので、クランクケース全てのネジ山を再タップ立てて気付きました。
今まで如何やって固定してたよ?ってくらいネジ山が無いデスビ取付部分。

 

 

ネジ修理するのに結構面倒な所です。
電ドリでやるのもねアレなんでやっぱ垂直に機械加工します。

 

 

1/4-24 JIS規格にはありまテン。

 

 

前回ラインボーリングで仕上げたライトケースメインベアリング。
美しい以外にもケースにクランク納めて手廻ししてもらえれば違いは歴然。
ケースラインもでたところで。

 

 

カムカバー内ピニオンブッシュ内径をライン仕上げ。 クリアランス0.03mm。
カムカバーカムブッシュ内径もこのタイミングでライン仕上げ。 クリアランス0.03mm。

 

 

そして、ここでまさかの問題発生。
仮組みしてクランクスラスト量が0.4mm? スラストカラーの厚みを変えても変化なし?
色々と原因を1つずつ潰して見つかりました。

 

 

Cリング溝が微妙に浅かったようで。追加工。
計測器が入らないし仕方ない部分。
ここに気付くのに丸1日費やして組んでバラして組んでバラして…。どツボ。しかしながらデーターは取れました。
これで55以降のケースはいけますね。

 

 

組み立てへ。
ピニオンシャフトレースベアリングはSTDサイズ。 レース内径とのクリアランス0.03mm。

 

 

無事に問題解決してそのままラストスパート。

 

 

 

HD 54FL #3

 

昨日の富士山 車窓から。場所は御殿場辺りかな?
2日休みもらい神奈川から無事に帰還しました。
リフレッシュも兼ねましたので今月は休みナシでぶっちぎります。

 

 

毎回毎回ハーレーネタにウンザリかと思いますけど、お付き合い下さいませ。
54FLの続き。

コンロッドスモールエンドブッシュ内径ボーリング加工。
専用治具にセットし、 ビッグエンドに対して平行に加工します。

 

 

仕上がりこんな感じ。ピンとのクリアランスは0.03mm。
ピンが自重で落ちる手前位で仕上げるのが自分の流行。

 

 

コンロッドのスラスト調整はこのフライホイールワッシャーの厚みで調整します。
1度仮組みして狙った数字に入っているか確認して最後にかしめます。ので、分解前にスラスト量を測定しておけばそこそこスムーズに進む。

 

 

オイルラインがちゃんと通っているか。単体で確認しておいて一気に組み立て。

 

 

シャフトの曲がりが0ではないので此処が限界かなと。

 

 

持ち込まれた時とはエラい違うのでびっくりして下さいな。

 

HD 54FL #2

 

腰下の作業を進めました。
持ち込まれて来た時はコンロッドのスラストガタが多い位でそこまで悪くない感じがしていましたが、いざ分解して見ると分からないものですね。

 

 

クランクピン剥離。
幸いコンロッドビッグエンドレースに剥離はなかったのでラッピングで修正します。

 

 

各部品を洗浄後測定作業へ。
シャフト曲がり点検。本来0以下が望ましいです。
スプロケシャフト 0.02mm ピニオンシャフト 0.015mm

 

 

コンロッドビッグエンドレース内径F、Rともにスタンダードサイズでしたが0.05mm楕円。
と、少し不安になりましたが。

 

 

何とか真円にラッピング完了。

 

 

.0006インチオーバーサイズベアリングとジムズ製3ホールクランクピン。
ベアリングケージは再使用。

 

 

コンロッドスモールエンドブッシュ内径は規定値オーバーなので入れ替え。

 

 

何故か下孔が0.05mm楕円と?でしたので此処もホーニングで真円に修正しときました。

 

 

スモールエンドブッシュ下孔径に嵌め代付けたブッシュを単品製作。
気付けば先月からブッシュばかり作ってますね。そろそろ飽きました。(汗)

 

HD 54FL

 

週末の特殊作業。

順番待ちをフライングして此方の現状把握。
クランクケースがマッチングしていないので先ずはマッチング作業可能か判断していきます。
時間の掛かる作業は率先して触っていかないとダラダラ時間ばかり過ぎてしまいますし。

あ、タイトルと画像のクランクの年式が違う。とか鋭い突っ込みはやめて下さいね(笑) 色々深いんですから。

 

 

左右年式違い+溶接修理大盛に加えケース合わせ面も加工と結構イジられています。が、ケース嵌らないんですけど?

 

 

まぁ、イイや。
取り敢えずメインベアリングレース抜き取って計測の準備。此処のボルト取る時緊張します(笑)

 

 

クランクケースの加工へ。
ケース合わせインロー部分の追加工。一言で言うと以前のケース加工が甘い。

 

 

 

 

はい。OKです。
あの隙間をボルトで締め上げて組んであったなんてビックリです。そもそも組む方がどうかしてる。

 

 

さぁ、やっと測定です。左側を基準0。
結果は如何に。

 

 

X方向は先ず先ず。
Y方向は0.12mm。
ザックリ言うと左右のケースが上下でズレている感じですかね。
ピニオン側のベアリングをガバガバにして組まれていたのでしょう。じゃないとこの数値でまともに組む事は不可能です。

 

 

まぁ、何とかやってみますかねー。
社外に交換希望なら全然そっちでお願いしたいです。

 

スピーディオ欲しいなぁ。静岡に30番の風吹かしてぇ!

 

パンヘッド 高知#4

 

前回の続き。
オイルポンプの組み付け。シャフトブッシュを入れ替えたので芯出し作業も容易かと思われたが、ボルトナットを締めつけるとドライブギアがほぼロックします。

 

 

 

 

シャフト先端がボディ側に当たっていたのと、ポンプボディよりギアが厚く飛び出していた為ケースに干渉していました。

 

 

 

 

シャフト先端を0.3mm、ギア厚を0.1m研磨。
指一本でクルクルと回るまでに丸1日かかる。(汗)
ここが渋いまま組み上げると腰上を組む気にならない位クランクの回りが重くなります(経験済み。)

 

 

 

 

左から カム、サーキットブレーカーギア、アイドラーギアのシム、カラー?を製作。
元々使用していたシムではマニュアル基準値をかなりオーバーしてました。

 

 

 

 

組んで測定バラし、組んで測定バラし…。を何度か繰り返しながら使用済みのガスケットを用いてエンドプレイを調整します。

 

 

 

 

クランクを手で回すと明らかに違いが分かりますよ。

 

 

 

 

腰下完成。
今週中に腰上もいきたいところですが、他エンジンの加工も溜まっている為頑張ります?

 

 

パンヘッド 高知 #3

 

まずは、色々とお騒がせしました。
そして電話、メールでご連絡頂いた各方面の方々へ、ありがとうございました。
ブログに直接コメント下さった方々もありがとうございます。取り敢えず元気にやっています。
ショップさんと直接会って話しましたが…ひらりひらりと上手く交わされ最後には、3000回転が頭ウチのハーレーにうちの加工精度は必要ないとの事で決着。逃げるには苦しいし、メカがそれ言ったらおわり。言い返す言葉も出ない感じでした。

 

気を取り直していきましょう。

少し間が空いてしまいましたが作業のほうは進んでいます。
磨耗したカムカバーブッシュ類は打ち替えてライン仕上げ。

 

 

 

 

偏磨耗したロッカーアームシャフト。
通常は社外新品に交換ですが、オーナーさんの熱意に答えます。

 

 

 

 

溶射肉盛り後シャフト研磨で再生。
ロッカーボックス内径に合わせシャフト外径寸法を仕上げましたのでロッカーボックス内径をホーニングでクリアランス調整すます。
これは試作で何度も苦労した修理です。

 

 

 

 

昨年ピストンピン飛び出しによりスリーブ打ち込み修理しましたシリンダー。
フロントシリンダーがまたしてもピストンピン飛び出しという惨事に見舞われましたので再度打ち替えます。
リアシリンダーは幸い縦キズのみでしたからフロントをリアに合わせるためピストンサイズは010オーバーで。

 

 

 

 

ウチでスリーブ加工したシリンダーは何度でも入れ替え可能。
ですが、今回のような事になると正直凹みますよね?なのでシリンダー外したら必ずコンロッドの状態を確認して下さい。
ガタがあるとピストンに影響が出るためシリンダーもタダではすみません。

 

 

 

 

腰下はこのネジ修理を済ませば組み立てに入れます。
クラックや歪みもなく程度が良さそうなクランクケースでしたが、よくよく見てみるとネジというネジがダメダメ。
ケースボルトなんかはサイズバラバラ。肝心の位置決めボルトはスカスカでしたので新調しておきます。

 

 

 

 

レフトケースTIMKENベアリング入れ替え。
あらかじめベアリングを温めておくとストンと落ちていきますけど、最後は専用工具で確実に押し込んでおきます。
クランクピンナットロックワッシャーとボルトも新調。

 

 

 

 

3000回転しか回らんエンジンですけどカムギア、ピニオンギアのマッチングを確認します。
この後は、ネチネチ系カム周りの調整をし洋々なエンジンに組み上げていきます。

 

決まり文句のハーレーだから。パンヘッドだから。はうちには関係ないね。
あんまり酷いのは別だけどさぁ。

 

 

HD54PANHEAD#3

昨夜自分のやった仕事について色々と考えました。一言でオーバーホールと言ってもピンキリで、やり方考え方は10人入れば10通りのオーバーホールがあると思います。詳しい詳細は書けませんが今回自分にも非はあると思います。独断で判断した結果が招いたトラブルです。依頼されたショップさんもそうですが作業した自分もお金で揉めるのはいい気分はしません。但し、自分の中で内燃機屋として求められるのはあくまでも加工内容と加工精度。予算に合わせて加工方法を変え安く仕上げる。加工内容の変更ではなく加工方法ですから当然精度は同じにはなりません。エンジンを組み上げてからトラブルが出てしまうとそれこそウチみたいな小さな町工場は死活問題になりますから精度が出せる加工方法を選ばざるを得ないのです。それこそ何度も何度も試作を重ね来る日も来る日も毎晩1人で工場にこもり修理方法を模索しやっと自分が納得できる加工修理があったりもします。その為に犠牲にしている時間やヒトの事を考えると技術の安売りだけはしたくはありません。加工明細だけ見て高い!の一言で片付けるのは簡単ですけど修理屋を謳うなら内容で判断してもらいたいです。
1日置いて考えた結果、心苦しいですが悔しい思いしかなく最後の作業はこちらからキャンセルさせて頂く形を取らせてもらいました。何だか自分ばかり被害者面になってしまう内容ですが自分にも非はありますので。この経験をこれから活かして次に繋げれるよう努力していきます。

それでは自分が独断と偏見で作業進めましたブリーザーホール。
このくらい深いキズだとオーバーサイズでは対応できません。

鉄ボディのブリーザーギアを使用するとケースがアルミで出来ていますのでどうしてもケース側がキズついてしまいます。
硬度のある合金材料でスリーブを製作。

圧入後再度ボーリングして完成です。
圧入代やスリーブの寸法にもノウハウがあり、ただ突っ込めばいいというわけではありません。
割れやすい部分ですから。

1度アルゴンで埋めたカムホールはブッシュ製作圧入後カムカバーラインと合わせボーリング仕上げ。
市販されているブッシュは内径がデカ過ぎるためボーリングでは取りきれません。リーマーなら下穴に沿っていくため取りきれますがライン精度はボーリングには到底及ばず。皮肉ってガキの工作と呼んでいます。

少し見ずらいですがカムシャフト ブリーザーギアを取り付け回しています。
カムカバー取り付けノックピン基準完璧な位置出し。其れに合わせ専用に作った治具がなければこれはできません。

HD 54PAN HEAD #2

 

前回の続き。
溶接で歪んだクランク軸をボーリングで芯円に加工していくところです。
クランクケースは正規トルクをかけて本組みと同じ状態にします。
この時にクランクラインが出ているか確認しますが、ダイヤルゲージがケース内に入ると鏡でダイヤルの動きを見ないといけない為、計測作業が思った以上に時間がかかります。

 

 

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0.5mmオーバーサイズで取り切れました。
圧入するレースもオーバーサイズになります。

 

 

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アルゴンで埋めたカム孔を再生中。
此方はトーチが振れないためYAG溶接です。

 

 

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仕上がりも良いですよね。

 

 

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コレならブッシュ圧入しても問題ないと思うんですけど。
何があるか分からないのが溶接修理ですから気が抜けません。

 

 

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