ショベル クランクオーバーホール

だいぶお待たせしているHDショベルのクランクが完成しました。
諸事情によりフライホイールは純正ではなくTRUETTOSBORN製の新品を使用します。

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まずは仮組みしてコンロッドのスラスト量を計測。現状のスラストワッシャーだと、0,90mmもスラスト量があるためベアリングケージの材質に合わせてフライホイールワッシャーを新規で製作することになりました。

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わざわざ製作するの?とか聞こえてきそうですが純正のフライホイールワッシャーだと外径が全然合いません。
もともと入っていた鉄のスラストワッシャーに合わせ、スラスト量はお客様指定値になるようにワッシャーの厚みも2.25mmとかなり難易度高いです。

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薄物の切削加工は加工中の切削熱で歪んでしまうため、平行度が必要なスラストワッシャーなんかは非常に難しいです。
面がきれいに引けたと思っても時間が経つと面が波うってきてしまいます。切り込み量を0.03mm以下で切削油をバシャバシャとかけて完成。生ツメは必至です。

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ここまできたらもう一度仮組みしてスラスト量をチェック。

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いいんじゃないでしょうか?狙いとおりになったら再度ばらしてフライホイールのバランス取りからやり直しです。
詳しくは過去の記事に乗っけています。

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バランス取りが終わったら本組みし、クランクの芯出しに入ります。
クランクピンナットを締めつけると芯が狂ったりするので締めこんだら芯出し、また締めこんで芯出しと非常に厄介です。最終的に振れ幅を0.015mmまで持ってきて芯出しは終了です。

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作業完了と同時にオーナーに連絡し、クランクをケースに引き込んでいきます。
専用工具があると楽ちんですね。

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まだ仮組みですが形にはなりました。クランクを手で回すと変な引っ掛かりもなく、するするとスムーズに回転します。
ここが重要で、手で回して重い箇所があったり、ひっかかりがあったりすると芯がでていない可能性があります。
結構時間かかってしまいましたが、オーナーの希望通りの数字で追っかけたクランクが完成しました。
バランス率53%がどうでるかエンジンに火が入るのが楽しみです。
ありがとうございました。

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