GS400 東京

業者様、個人のお客様からGS400の依頼です。
画像にはありませんがクランクも預かっています。

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東京のGSオーナー様のエンジンはかなり酷い状態です。
オーバーホール後すぐに焼き付いたようです。
燃焼室の淵が熱で溶けています。

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シリンダーはピストンがかじり溶けてへばりついている状態。
シリンダーはスリーブ製作で69πヨシムラピストンに合わせて作っていきます。
実は予備に2~3機分69π専用スリーブをまとめて作る予定でいます。

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まずはヘッドの修理からとりかかります。
溶けてしまった部分を一旦削り取ってアルゴン盛りして修正していきますが、その前にヘッドの油抜きを徹底的にやっておきます。古いエンジンの場合アルミが油を吸っているため溶接不良が起こりやすいです。
すでに巣がでていますがSUZUKIのエンジンですから(汗)

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アルゴン盛り整形後。
と、言っても最終仕上げは面研後に行います。燃焼室をイジッたら容積の確認も必要ですからね。
ちなみにバルブはヨシムラのビッグバルブを使用するので楽しみですね。

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HDショベル 東京

今日は夕方から冷え込んできましたね。夜の工場はストーブ焚いててもキンキンです。空調早く入れたいなぁ。快適なんだろうなぁ。夏までには必ず入れるぞぉ!
寒い中パソコンに張り付くのも嫌なのでサクッと作業報告。
相変わらず作業依頼が多いショベルですが今日はバルブタッチしたショベルの修理依頼です。特にハイカムを組んだ車両に多いんですよね。

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ピストンとバルブがゴッツンすると曲がったバルブの力がバルブガイドに逃げるためこんな感じでガイド穴を損傷します。

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ガイド穴を測定してみると楕円というレベルを超えてガイド穴が曲がってしまっています。この時点でガイド穴ボーリングが必要になってきます。

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バルブガイド入れ替え時のリーマ修正によってシートリングとガイド穴の位置も悪かったため、どうせやるならシートリングのど真ん中にバルブが収まるようにしてあげよう。と言う事でシートリングを取り外してガイドボス部分のクラックを一度削り取ってアルゴン盛りスタート。

何度やってもここの修理は慣れません。
ここからの機械加工は更に神経使いますのでちょっとバタバタしている時は後回しでじっくり煮詰めたいと思います。
オーナー様もうしばらくお待ちください。

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HD EVO クランクケース上面研磨

ハーレーの依頼は止まりませんが作業の方はかなり溜まっています。(汗)
業者様から年末に加工依頼を頼まれたEVOのクランクケース。
シリンダースタッドボルト穴の修理とケースデッキ面の修正研磨です。

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気持ち的にはすぐさま機械にセットして加工に入りたいのですが、左右で分割するクランクケースですからまずはダミークランクシャフトを製作します。

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ダミークランクシャフトの製作後機械にクランクケースをセットした所です。
わざわざ手間のかかる事をしていますがクランクケースを加工する時に基準となる部分はクランク軸です。クランク軸に対し平行にデッキ面を加工するためにはダミークランクシャフトが必要なんです。
クランク軸を無視してデッキ面を加工してしまうとクランクに対しシリンダーの垂直が崩れる可能性があります。最悪なのはクランクに対し左右に傾いて加工した場合ピストンがシリンダー壁を傷付け焼き付くトラブルを起こします。

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デッキ面修正の前にスタッドボルト穴をヘリサートで修理しておきます。
3/8インチピッチ16のネジサイズ。
通常は2Dのヘリサートで修理するのが一般的ですが、60Nmで締め付ける部分のため3Dのヘリサートを使用します。

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こんな感じで8箇所全てヘリサートを入れていきます。

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片面のネジ山修理が終わったら角度が付いているうちにデッキ面の修正面研をしていきます。

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ダミークランクシャフトを用いて加工する利点がもう一つ。
F、Rのデッキ面の高さを揃える事が出来るんですねー。
ダミークランクシャフト無しでデッキ面の高さ(クランク軸から)を揃えるのは至難です。
出来なくはないですがね。

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最小面研後。
パリっと仕上がってるでしょ?

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ダミークランクがない場合はその都度図面から製作までやって加工に入ります。面倒ですけど拘りですから。

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GS400 ボーリング他

年明けからGS400ばかり修理しています。
普段は月に1、2機程度でしたがわからないものです。

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ヘタったシリンダーを0.50mmオーバーサイズでボーリング。

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腐食が激しいシリンダー上面。
これだけ腐食しているとオイル漏れが心配です。

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このくらいまで取りきれば安全圏かな。
取りきるのが一番ですが意外に深い所まで腐食は進んでいますので。

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もう一台のシリンダーも一丁上がり。

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クランクケースも預かってたんだっけ。
ドレンボルト穴の修理です。

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色々と塗りたくって試行錯誤していますが、ヘリサート一発で解決します。
が、GS400はケースを割らないとここを修理出来ないのが難点です。

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ヘリサートを入れたらちゃんとトルクが掛かるか確認するためボルトを入れてみましたが、肝心のボルトが逝っていましたのでプラグで対応しました。

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クランクもバッチリ0.02mm以内に芯出しして完成!ダイヤル読みですからね。
別のクランクですが動画を撮ってあるので近々アップします。

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Z1000MKⅡ 腰上OHシリンダー編

ちょっと間が空いてしまいましたがZ1000MKⅡの続きです。
画像は抜き取ったシリンダーライナーです。
オイル焼けしていますね。シリンダーとライナーの隙間にオイルが侵入した証です。Z系のシリンダーはライナーの締め代が少ないためほとんどがこんな感じ。Oリングでオイル侵入を防いでいますがそれもあまり効果がないようです。
ライナーの熱をシリンダーにしっかりと逃がして冷却させるにはこの部分をしっかりと作ってあげる必要があります。

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奥にあるのが抜き取ったライナーで手前が今回入れ替えるライナー。

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1/100単位で締め代を調整するためライナーの外径に合わせてシリンダーのバレルをボーリングしていきます。

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バレルボーリングとシリンダー下面の研磨が終わったところです。
下面はライナーを抜かないと研磨できませんのでここはついでにやっておきたいですよね。

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シリンダーを温めてライナーを焼き嵌めしたところです。
これでシリンダーとライナーの隙間にオイルが侵入することは無くなります。
この後シリンダーボーリング作業になりますがライナーに歪みが出る為1日放置してからシリンダーをボーリングしていきます。

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あ、そうそう。ライナー入れ替え時はツバの部分がこんな感じで飛び出すため面研が必要になってきます。

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シリンダー下面を基準にボーリング。
上下面研しているため平行も出ていますが普段からこのやり方でやっているため普段通りいきます。

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ホーニングで指定ピストンクリアランスになるよう仕上げていきます。

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画像は上面研磨後。
ちょっと二度手間になってしまいましたがライナー入れ替え完了です。
ライナーが動いた時にオーナーに連絡すれば良かったんですけどね。

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まぁ、手間暇かけた分仕上がりもGOODです!
オーナー様から無事エンジンに火が入った報告を貰ったので後日動画の準備かな。
ありがとうございました。

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お知らせ

週明けから加工依頼のエンジンが次から次へと入ってきています。
ちょっとかなり厳しい状況です。
CBX400Fのオーバーホール2機。
2機ともフレンズからです。

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東京のGS400オーナー様、クランク到着致しました。
測定してから見積もりのほう出させて頂きます。預かっている腰上のほうも牛歩で進めています。
ちなみにフレンズからの紹介です。

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こっちは別のGS400の腰上でお預かり。
もちろんフレンズから。総帥からじゃないですよ。オートワークスフレンズです。

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そして岩手県ショベルのオーナー様、エンジンのほう到着しました。
シリンダーが凄いことになっていますがスリーブ入れ替えするので問題なしですね。
こちらもまだまだ触れそうにないです。

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最後はやっぱK6です。
3機納めれば4機持たされ4機納めれば5機持たされる。
じゃあなんにも納めなければどうなるか?
もう組むエンジンないから明日持ってきて!と催促の電話がかかってきます(笑)
一日じゃ無理ですわ。

そんな感じで今の所かなりお時間頂く形になっていますのでご了承願います。

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PANヘッドOH 新潟

今日は昨日のブログで書いた通り業者様から依頼のPANヘッド修理依頼です。

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まずはPANヘッドではポピュラーなプラグホールのクラック。
一度修理されている形跡がありますが再度クラックが発生しています。
プラグホールからシートリングまで繋がっていますねー。
この場合、しっかりとクラックを修理するにはシートリングを一度抜いて溶接する必要があります。

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早速シートリングを抜きにかかります。というか削り取っていきます。
地味にね。

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続いてプラグを差し込む座面にクラックが2箇所。
PANのプラグホールは鉄の鋳込みになっているためこちらも鉄のネジ部を削りとる必要があります。
鉄とアルミは溶け込みませんからね。

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プラグ座面を基準に機械にセットし、大きく削りとります。
削り取ったプラグホールを見てみると色が変わっている部分があると思いますが、PANヘッドはアルミ、鉄、アルミとサンドイッチのように鋳込まれています。
この構造がクラックの原因の元なんですね。プラグ座面のクラックも中の鉄まで繋がっていました。

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鉄がいる時点でアルゴンで穴埋めは不可能なためこんなモンをこしらえて。

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こうしておきます。
これなら溶かし込めるでしょ!
燃焼室とプラグ座面をアルゴンで盛っていきます。
シートリングを抜き取った部分のクラックはそのままポートへ。

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ポートから覗いてみるとこんな感じです。
この部分がほんと弱いですよね。
シートリングを打ち込む際なにも考えずにガンガンやるとこうなります。
溶接の難易度はかなり高いです。
しっかりと溶け込ませ際すればあとは加工で何とでもなる部分ですが。

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そう。今回の溶接は業者様で行うため一旦ヘッドだけ新潟に旅立ちます。
KENさん気合い入れて溶接頑張って下さい!

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PANヘッド 高知

高知県からPANヘッドが届きました。
ヘッドオーバーホール、シリンダーはスリーブ入れ替えでSTD戻しのメニューです。なんか重いなぁと思ったらロッカーアーム付きですね。こちらも確認作業させて頂きますが、まだまだ触れそうに無い状況です。

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まぁちょっと観察してみましたがかなりオイル喰ってる状態ですね。
ポートの中はオイルダダ下がりで滲むというよりビシャビシャでした。
ちょっと以上なくらいオイルまみれでしたので、もしや?と思ってライトでポートの中を覗いたらかなりショッキングなクラック発見!
燃焼室とポートの壁が薄い部分の所がこんにちわしていました(悲)

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で、ちょうど今業者様からお預かりしているPANヘッドがその部分の修理をやっているところなんで明日ブログで紹介したいと思います。
ちょっと普通じゃないんで皆さん楽しみにしていて下さいね。
うちにくるPANヘッドってまともなの一台もないですわ(笑)

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Z1000MKⅡ 腰上OHシリンダー編

連休明けから加工依頼が殺到しています。
ちょっと納期の方も2週間から3週間ほど見て頂くような感じですのでよろしくお願いします。

作業のほうは前回の続きでZ1000MK
Kawasaki純正オーバーサイズピストンに合わせボーリングしていきます。

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その前にシリンダーのフィン欠け修理。

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ちょい欠け部分も含めてブリブリとアルゴン盛り。

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ええ感じです。

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で、一気に飛んでボーリング後。
ホーニング加工が終わって気づいたんですが、シリンダーのスリーブが動いて飛び出しています。まぁ、Zのシリンダーじゃ珍しい事でもないんですが、しかし常温で動いてしまうとかなり締め代が緩いようです。

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面研して完成。の予定でしたが、オーナー様にこの事を伝えると出来ればしっかりとスリーブから修理したいとの事で。

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こうなりました(笑)
自分のZは大丈夫。と思っていたオーナー様。Zのシリンダーは9割以上シリンダーとスリーブの締め代が緩いです。ここがZの泣き所なんですよね。

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