シリンダーのボーリング作業が完了。
ピストンはKB製。.010オーバーサイズ。
組み立て前に予め下準備しておきます。
ピストン、リング共にバリ取りとギャップの確認作業。
パンヘッドエンジンオーバーホール。腰上加工作業。
今盛り積ったカーボンを除去して徹底洗浄。
見つかりましたクラックはお決まりのココ。
とヘッドボルト鋳込み。
どちらもレーザー肉盛りで楽します。
バルブガイド下孔を4箇所修正してnewガイドに打ち替え。
オーナーさんのリクエストに応えるべく。
シートリングを入れ替えてバルブ突き出し量をマニュアル規定値内に収めました。
バルブスプリングの点検と調整。
スプリング圧はアウター、インナーを組み合わせた状態で4箇所揃えておきます。
パンヘッドはまだまだ終われません。そう、ロッカー周りです。
これがまた大概ダメでして、今回も交換履歴がありそうなリアヘッドの排気側しか再使用出来ませんでした。
クリアランスは0.15mm〜0.2mm。これでは油膜保持は無理に等しい。
のでシャフトも片減りします。
今回はアッセンブリーで交換。フロント吸排気、リア吸気の計3箇所。
ダメだ。ダメだ。と言われているリプレイス品のロッカーボックスですが、自分は要点さえ抑えれば問題なく使用できると思っています。
そこで重要なのが、ロッカーボックス座面の歪みとヘッド下面とロッカーボックス座面の平行度です。
ロッカーボックス単体で1度仮組みしボアゲージで確認が必要なんですけどね。
曲者のパンカバー。
微妙に孔位置が合っていなかったり。バルブスプリングに干渉するのもあったり。もうネジ締める度にドキドキです。
今回は元々付いていたフェルトが厚くてイヤな感じでしたので交換。
液ガス塗ってなんか無いかなあーと、ゴソゴソしてたら見つかりました。
こりゃいいや。
オイルポンプ分解点検組み立て。
見たところ内部は新品に近い状態でした。
察するにリプレイス品と思われます。
オイルポンプシャフトは、ギア側のキー溝が1度飛んだ形跡がありましたので交換しました。
新品シャフト外径に合わせてケース側のブッシュ内径をリーマー合わせホーニングで仕上げ。
そして、元々付いていたガスケットの厚みと同じものでポンプを仮組みします。
此処で問題発生。画像で飛び出ているスタッドをここから締め込むとオイルポンプギアがビクとも動きません。
クランクケース、オイルポンプともリプレイス品なのでどちらの孔がズレているか分かりませんが、このままでは芯出しは疎か組み付けすらできないので、ボディ側のスタッド孔を0.2mm拡げて対処。
芯出しをしながらポンプを組んでみるとどうも引っ掛かりがあるようで。
ボディとギアの差を計測したら約0.1mm。使用するガスケットは0.2mmで潰れる分を考慮すると、クリアランスは0に近いと判明しました。
そこで、ギア側の端面を0.07mm研磨して再度組み付け。
無事指一本で回るスルスルポンプとなりました。
キー溝飛び。シャフトギア欠け。Cリング飛び。これらの原因はオイルポンプのアライメント不足によるものが殆どです。
ギア駆動ですから下手に負荷が掛かっていれば何処かにしわ寄せがくるものです。
それとは別に組み付けに半日以上かかったのは内緒な話。トホホ…。
クランクシャフトのエンドプレイは半月の切り欠きがあるワッシャーの厚みで調整します。
エンドプレイ調整と平行してクランクシャフトの位置決めもワッシャーの厚みで調整するので、コレは手間がかかります。
何度か厚みの違うワッシャーで仮組みしてエンドプレイを計測したとこ、1番厚いワッシャーでも0.7mmもある事がわかりました。この時何を思ったのか深読みし過ぎてドツボにハマる事に。
0.7mmという数字にピンとくる頃には、時計はぐるりと1周してました。汗
それでもココから。
ゴリゴリ削り倒し。
調整用の仮ワッシャーを製作。
コレでダメならどうしましょ?
結果は、どんぴしゃり。
どういう事かと言うと、クランクシャフトの組み立て芯出し時にフライホイール間が狭くなった分が此処に出てるんですね。暇な人は前回の#3を見て下さい。
そしてクランクシャフトの位置決めは、自分の指先に注目。
クランクシャフトを組み立てる前にコンロッドにケガキ線を入れてありますから、クランクケースの合わせ面にケガキ線がくればど真ん中となります。
それじゃもう組めるのかって?
いやいや、これから本組み用で新たにワッシャーを6枚製作、外注先にて焼入れ処理、その後0.05mm飛びでワッシャーを研磨していきますからまだまだかかるよ。
前回に続きクランクシャフト。
元々のコンロッドは状態が酷く修理する手間と費用を考えコンロッドはアッセンブリーで交換。
ベアリングもセットとなっているがそこは要確認。組まれていたビッグエンドレース内径に対しクランクピンとベアリングのクリアランスは0.04mm。初期磨耗を考慮すると少々緩めなのでオーバーサイズベアリングでクリアランス0.03mmに変更。
コンロッドを交換したので1度クランクシャフトを仮組みしサイドスラスト量を計測。
新品コンロッドを使用するとサイドスラスト量はほぼ0に。そこで、使用するフライホイールワッシャーの厚み1.6mm。サイドスラスト量を0.3mmとし、片側0.25mmフライホイールワッシャーの溝を追加工。
そして本組みへ。
パンヘッドの前期モデルは今まで苦労させられていて、当然今回もすんなりと芯がでるわけもなく悪戦苦闘となりました。そこに問題発生。0.3mm隙間ができる筈だったコンロッドサイドはナゼか0.05mmに。
クランクピン穴が脆いのか?組み立て→分解を繰り返すと徐々にフライホイール間が詰まってくるようで、結局コンロッドサイドを片側0.1mmずつ研磨してクリアランスを0.25mmに。テーパー勘合のクランクピンをナットで締めあげるという構造なのでピン穴が変形していたりすると厄介です。
以前にも同じ症状のクランクがありましたが、その時はフライホイールを交換し難を逃れましたからコレでダメならフライホイールも交換かなとダメ元で再度組み立てへ。
もがきにもがいて3日。ここが限界でした。
0がいいんですよ。ほんとは。だから狙いにいくんですが、修理だと部品の状態で左右されるとこなのでこればかりはね。
コンロッドサイドは0.15mm。
ただ、この後ですよ。コンロッドサイドが詰まった約0.6mmがまた自分の頭を混乱させるのですが続きは次回に。
海外から取り寄せた新品クランクケースが届きました。
いつ見ても本物と見分けがつかない作りです。
中身のほうはというと、そこは海外製品なので疑ってかからないといけません。
それとこのまま使うのもアレなので少し手を入れます。
全てのネジ孔にタップ立てしてオイルラインの確認、各面の合わせなど諸々と念入りにチェック。と軽〜く半日以上かかりました。うん。しょうがないです。
気を取り直して、新品ですがカムブッシュを交換します。
元々内径が広めなのと、純正カムカバーのカムブッシュとの孔位置を合わせるのが目的です。
孔位置は、まんまカムカバーの治具を使用し、ボーリングで仕上げます。
それと平行してケース側はブッシュではなくベアリングに変更します。
以前同じメーカーのクランクケースでカム孔の位置がズレていた経験があったので。
クランクケース側の加工が終わったのでカムカバーへ。事前に製作しておいたブッシュを圧入。
ブッシュ内径は加工したクランクケース側に合わせて加工します。
カムブッシュ内径はボーリング。ピニオンブッシュ内径はエンドミルで突いてリーマー仕上げ。
これだけ突き出してると加工条件はキビシイです。(汗)
焼き嵌めホルダーで締め上げちゃってもいいけど、それ専用になっちゃうからねー。
えー、カムベアリング仕様です。
整備性もそうですが、ちょっと思う事があって敢えてのベアリングです。
そう。日々色々と考えてます。
ジャンク部品を寄せ集めて1基組み上げるプロジェクトの続き。
前回はクランクシャフトを仮組みしてコンロッドのサイドスラスト量の測定まで。
フライホイールはS&S製で、このフライホイールはサイドスラスト量を調整するフライホイールワッシャーの取り付け溝が元々ありません。クランクシャフトを仮組みした時のサイドスラスト量から使用するフライホイールワッシャーの厚みと今回サイドスラスト量を0.2mmを狙う寸法を足し引きして溝掘り。
使用するフライホイールワッシャーはベアリングケージがアルミなので銅製を。
測定と加工がしっかりと寸法通り出来ていれば狙い通りになる。筈?
気合いを入れて組み立て芯出ししたらば、出ました久々の合格クランク。
サイドスラスト量は0.2mmとバッチリきまして芯振れゼロ。
何度も組みバラシされているクランクシャフトだとこうはいきません。
ウチの部品取りエンジンとジャンク部品を使い1基組み上げるプロジェクト。
ストックヤードで使えそうなコンロッドとフライホイールをチョイスしてクランクを組み上げます。
ジャンク扱いですがビッグエンドレース スモールエンドブッシュを入れ替えれば使用可能なコンロッド。
ビッグエンドレースは入れ替え使用するクランクピンに合わせ内径を仕上げます。
スモールエンドブッシュは新規製作。
別で使用するブッシュも序でに製作しました。
ブッシュ圧入後仕上げておいたビッグエンドと平行になるように、内径をボーリング仕上げ。
真っ茶茶に錆びていたフライホイールはウェットブラスト当ててキレイになりました。
S&S製のストローカーだったかな。ツッコミ所満載な感じですが半分遊びですから。
クランクピンナット クランクピンは3ホールのjims製新品を使用します。
遊びと言っても押さえるトコはちゃんとやります。
クランクシャフトを仮組みというか本組みの状態でコンロッドサイドスラスト量の確認。
1.0mm以上ありますね。フライホイールワッシャーを取り付けられるようにフライホイール側を加工して再度組み上げる事にします。
続く。