HD EVO クランクケース上面研磨

ハーレーの依頼は止まりませんが作業の方はかなり溜まっています。(汗)
業者様から年末に加工依頼を頼まれたEVOのクランクケース。
シリンダースタッドボルト穴の修理とケースデッキ面の修正研磨です。

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気持ち的にはすぐさま機械にセットして加工に入りたいのですが、左右で分割するクランクケースですからまずはダミークランクシャフトを製作します。

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ダミークランクシャフトの製作後機械にクランクケースをセットした所です。
わざわざ手間のかかる事をしていますがクランクケースを加工する時に基準となる部分はクランク軸です。クランク軸に対し平行にデッキ面を加工するためにはダミークランクシャフトが必要なんです。
クランク軸を無視してデッキ面を加工してしまうとクランクに対しシリンダーの垂直が崩れる可能性があります。最悪なのはクランクに対し左右に傾いて加工した場合ピストンがシリンダー壁を傷付け焼き付くトラブルを起こします。

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デッキ面修正の前にスタッドボルト穴をヘリサートで修理しておきます。
3/8インチピッチ16のネジサイズ。
通常は2Dのヘリサートで修理するのが一般的ですが、60Nmで締め付ける部分のため3Dのヘリサートを使用します。

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こんな感じで8箇所全てヘリサートを入れていきます。

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片面のネジ山修理が終わったら角度が付いているうちにデッキ面の修正面研をしていきます。

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ダミークランクシャフトを用いて加工する利点がもう一つ。
F、Rのデッキ面の高さを揃える事が出来るんですねー。
ダミークランクシャフト無しでデッキ面の高さ(クランク軸から)を揃えるのは至難です。
出来なくはないですがね。

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最小面研後。
パリっと仕上がってるでしょ?

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ダミークランクがない場合はその都度図面から製作までやって加工に入ります。面倒ですけど拘りですから。

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