最近はショベルライフな静岡の内燃機屋です。
トップエンドのオーバーホール依頼。
アメリカでオーバーホールされたヘッドというだけで疑ってかかります(笑)
シートリングが雑に入れ替えられていたため念のためレッドチェック。案の定排気ガイドの隙間からオイルリークしていました。
ので、ガイド入れ替えです。排気ガイドだけ入れ替えればいいのですがどうせステムシールを付けるなら吸気側もやっておきたいので吸気ガイドも抜き取ってしまいました。
排気ガイドはリーマー通し、内径を基準に外径を加工してガイド穴に締め代がしっかりと付くように加工します。締め代が少ないとオイルリークしますし、締め代が多いとガイド入れ時にガイド穴を傷めるだけでなくガイド穴周辺にクラックが入る危険があります。
バルブガイドの頭はステムシールが付くように加工。
左が加工後で右が加工前です。
バルブガイドを焼き嵌めて1日置いたらもう一度バルブガイド内径をリーマーで仕上げます。そしたらバルブ突き出し量を測定してシートカットでセット長が合うように加工していきます。
加工前の突き出し量はマニュアル基準値以下、ガイド穴とシートリングが偏芯していてシートカットに悪戦苦闘しましたが何とかクリア。
ヘッド下面を修正研磨中。
ヘッドボルト穴周辺が変形するのもショベルの特徴です。
面は出ているのに燃焼室の淵の歪みが全然取れてくれなかったり…。
いいところまで追い込んで完成です。
続いてバルブのセット長を4箇所測定します。
後期型のヘッドの場合シートカットでバルブ突き出し量を揃えると自ずとセット長も4箇所揃ってきます。このセット長合わせとはバルブスプリングの張力を4箇所均等に揃えるという意味があります。
先ほど計測したセット長で今度はバルブスプリングプレッシャーを測定します。ノーマルのプレッシャーはおよそ110ポンド付近のようですのでプレッシャーが足りてない場合はシムを入れて調整していきます。
ハイカムなんかだとさらに張力を上げて組み込むようです。
スプリングは中古のため色々と組み合わせて誤差が少ない組み合わせにします。結構地味な作業ですがバルブ周りは漢のロマンが詰まっていますのでとことん突き詰めていくが正しいかな?(笑)
最後にオチ。
排気側のボルト穴にヘリサートが打ってありましたが更にその下にヘリサートが入っている珍修理です。
ヘリサートにヘリサートを入れるなんて考えた事もありませんでしたが完全に見落としていました。ショップさんには今日発送の予定で進めていましたが週末になりそうです。