TDM900 ヘッド修理

新年明けましておめでとう御座います。今年も皆様に喜んで頂ける内燃機加工をがんばっていきたいと思います。
では、新年一発目、YAMAHA TDM900のヘッド修理からいきます。昨年に加工、納品と済ませてしまいましたが、なかなか見る機会がないと思ったのでご紹介します。個人のお客様からの依頼でしたので、どうしてそうなったのか、原因や、修理の方法なんかを念入りに打ち合わせ。この画像でもわかると思いますが。

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こちらのほうがわかりやすいかな。
そうです。バルブが曲がっています。なぜそうなったのかというと、今回のケースは、カムチェーンの山飛びにより、バルブタイミングが大幅に狂いピストンとバルブが接触したと思われます。

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ひっくり返すと、バルブリフターが粉々になりながらも、動いていた形跡があり、リフターが、リフターホールに食い込んでいます。こうなると、ヘッドは使い物になりませんが、中古のヘッドもタマ数がなく、新品は10万コースという事で、ダメ元で修理する事にしました。リフターホールをボーリングしたいのですが、オーバーサイズのリフターなんかないので、ここは、あまり触らずホーニング程度で、バリを除去する事にしました。

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今回インテーク側は全滅のため、新品のバルブガイドをガイド穴の内径に合わせ加工していきます。
元々オーバーサイズで来るため加工が必要です。

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ガイドを焼き嵌めし圧入したら、IN、EXともにバルブシートカットを行います。
EX側の色が違いますね。これ削った感じは、ベリリウムに近いのですが、材質はなんでしょうか?銅系でベリに近いくらいしかわかりません。走行距離のわりには、シート面の荒れはひどくないので、これ使ってシートリング作りたいなと思いながら擦り合わせしていました。

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そして、ヘッドOHの最近の定番になっている最小面研でフィニッシュ。
うん。いい感じ。
組み付けはオーナー様ご自身でやられるため、気になり何度もご連絡して進行状況、リフターの具合なんかも聞いてちゃんと動いてくれるかと心配していましたが、リフターもスムーズに動くとの事で少し安心しています。バルタイがんばって下さい。またわからないことがありましたらご連絡頂ければと思います。
加工やったらあとは知らん、っていうのはキライなので、エンジンが調子よく動くまでが仕事だと思っています。ありがとうございました。

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