VW 愛知

 

空冷VWクランクシャフトメタル合わせその他作業。

 

初めにメタル合わせの作業という事で1つ返事で引き受けましたが、持ち込まれたのは全バラの状態だったので先ずはサービスマニュアルを入手して作業へ取り掛かりました。

画像で撮っていませんが先に作業依頼にあるクランクケーススタッドボルトを16本全て抜き取りました。
そしてクランクケース、クランクシャフト、コンロッドを徹底洗浄します。
洗浄後クランクシャフトジャーナル寸法を計測しラッピング。

 

 

 

 

ジャーナル寸法が変わらない程度なのでテロっとした感じはありませんが指触りは格段に違いがわかります。

 

 

 

 

クランクシャフトの曲がりを点検します。
結果0.09mm。とこれはもうダメダメな感じです。
一体式クランクシャフトの曲がりはプレス機を使用しますがムリするとバッキリ折れます。(経験済み)
今回0.1mm近い曲がりでしたので正直キビシイかなと思いましたが最終的にダイヤル読み0.02mmまで修正できました。
心臓に悪いで。汗

 

 

 

クランクケースへ。
先ずは新品メタルだけを組み込みクランクケースを規定トルクで締め上げハウジング内径を計測していきます。
メインメタル#2以外は普段見慣れない円筒型のメタルベアリングです。

 

 

 

 

国産エンジンばかり組んでいる事もあってこのメタルはちょっと不思議な感じ。普段見慣れている分割タイプの#2ですらクラッシュハイトはコレでいいの?って感じです。元々付いていたメタルと比較しても同じ感じだったのでこんなもんなんでしょう。
クランクケースの組み付けは少しコツが必要ですね。一個組み付けを失敗したので再度メタルを取り寄せてやり直したのは内緒な話。

 

 

 

 

コンロッドメタルも新品で組み付け計測します。
通常はというかサービスマニュアルではオイルクリアランスはプラスチゲージで確認しろ。と書いてありますが、ボアゲージの方が正確に寸法確認出来るのでウチは普段からコレです。

 

 

 

 

コンロッドには重量の識別色があるようですが消えてしまっていたので測定しました。
サービスマニュアルでは4本のコンロッド重量差を10g以内となっているのでそのままでOK。
ただしこういうのはクランクシャフトとの重量バランスが絡むので分解する前にマークするなりして、どこにどのコンロッドが付いていたか分かるようにしておかないと後で痛い目を見る事になります。

 

 

 

 

フライホイール取り付け側を前にした時、コンロッドに浮き彫りのマークが上を向くように組み付ける。
頭の中で呪文のように唱えながら仮組みしていきます。

 

 

 

 

クランクケースを規定トルクで締め付けクランクシャフトの周りっぷりを確認します。
オートバイもそうですが自動車も手でクランクシャフトを回せるレベルなら合格。ついついメガネを掛けて確認しがちですがそれだとちょっと分かりづらいです。手で回して明らかに重かったり、引っかかるようだと何かが駄目なので手で回るまで何度も繰り返し測定修正をして煮詰めていきます。
今回もクルクルクランクです。完成〜。

 

てかこのエンジン元々ダメダメだった可能性がありますねぇ。おそらくクランクシャフトはそのままじゃ手でまともに回らないと思うし、メタルクリアランスもゼロでしょ。怖いなぁ〜。それよりも全バラだと時間も倍掛かるし大変だわ。